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天井席から見たあなた。

A.B.C-Zっていいね。

雪の降る日に。

君はみぞれ混じりの雪の降る、寒い寒い日にうちに来ましたね。

ペットショップで厳しい躾を受けていたせいで、少し人に怯えていました。

それが私には悲しく思えて、せっかく私と家族になったんだから仲良くなりたいと思って一日中一緒にいました。

私の洋服を寝るところに敷いたら、その上で気持ちよさそうに寝てましたね。私も一緒に寝たら、その日から君は怯えることがなくなりました。嬉しかったな。

でも畳をガリガリにしたことはまだ許してません。父親に隠すのがどれほど大変だったことか。

結局バレて怒られたけど(私が!)

大きくなって外犬になっても、ずっと一緒にいましたね。

春は公園へ桜を見に走りに行って、夏は水で遊んだり氷水を作ったり。秋は学校へよく迎えに来てくれた。冬の雪が積もった日には外で大はしゃぎして、全身びしょ濡れで家の中に入って怒られた。

父親と散歩に行けば首輪から首を抜いて何処かへ行ってしまうし(この事件から父親は散歩禁止になった)。

今の地区へ引っ越して、歳をとったはずなのにもっと元気になっていった君。

テンションが上がるとやる、体勢を低くしてチャッチャッ!って踊るのが可愛くてつい私も一緒にやってたなあ。

その頃から私は学校が苦手になって、人も苦手になった。

キツイ言葉、ふざける声、元気が良ければいいというルール。どうしても馴染めなかった。

でも君だけは苦手にならなかった。

中学校を休んでは、土を掘ったり水をかけたり遠くまで散策して遊んだ。

裏山でタケノコだって掘った。

友達なんていなくたって平気だった。

いじめられても平気だった。

だって、君がいたから。

学校へ行く日にグズグズしているとリードを持って来て、さあ行けとばかりに通学路の途中まで引っ張っていかれた。あの後どうやって君が帰ったのか不思議に思っていたけど、どうやら後ろに家族が付いて来ていたらしいね。かしこい。

帰ってくれば必ず君が待っていて、ただいまのチューならぬただいまのレロレロをされた。忠犬だね。

大雪の日に外に出て2人して雪まみれになってまたもや怒られたこともあった。

雪の掛け合いが楽しすぎた。

中学校をなんとか卒業した日、ただいま!と帰ったら特別な日だとわかったのか抱きついてきたね。

おかげで制服が土だらけに。肉球印の制服は私しか持ってないと思うぞ。

私が高校生になるとだんだん衰えていった君。

リビングに入れて、いつも一緒にいた。

目も耳も遠くなっていたけれど、鼻だけはよくきくとわかっていたから私の洋服をまた敷いた。

丸めてすやすや眠る姿が可愛くて、遅刻寸前まで見つめていた。

暖かい日は一畳のスペースに並んで日向ぼっこしたね。

高校を転校して、ようやく卒業できた今年。

12月。

また、雪が降った。

2人とも遊ぶ元気なんてなかった。

君はもう起き上がれなくなっていた。

私は寒さと季節のせいで関節が固まって、歩くのもしんどかった。

けれど同じ雪を見ていたことは確かだ。

その日から数週間後に君は家族にちゃんと挨拶をして飛んで行った。

雪の降る日に来て、雪が溶けるころに去って行った君。

君の名は、ユキでした。

いろんな感情を教えてくれてありがとう。外に出る楽しさを教えてくれてありがとう。大切な家族を失う悲しみを自ら教えてくれてありがとう。

 

悲しみは絶えないけれど、前を向いてまた歩いていこうと思います。バイバイ